妊娠中の心得 




 この度は、ご懐妊、誠におめでとうございます 

 お子さまは親の幸福でもあり、希望でもあります。今はきっとご家族が増えることへの夢と希望の毎日をお過ごしのことでしょう。
 その中で、つわりで苦しんでいる方もおいででしょう。でも、つわりは赤ちゃんから「元気だよ」というメッセージ。不安や心配、ストレスを感じる方もおいでかも知れませんが、お腹にいる間はあなただけのものでございます。どうぞ、お腹にいる時間をじっくりと楽しまれで、母親としての優しさと温もり、そして愛情という心の栄養をたくさん与えてあげましょうね。

当山発行

 それでは、元気な赤ちゃんを授かることを願って、常光円満寺よりご妊娠中の心得をお授けいたします。

 まず、心におとめいただきたいことは、お子さまを出産されたから母親なるのではなく、お腹に宿ったときから母親になるのです。夢と希望をもって、良い子の出産を願うことは親として当然のことでございましょう。そのためには今から母親としての心構えが必要になります。

 お腹の赤ちゃんはお母さんの心を感じておいでです。つまり母親の身体と精神の影響によって、善くも悪くもなられます。そのため母親の精神生活と肉体生活を理想的に調整することが大切です。それには『身(しん)』『口(く)』『意(い)』の三つの働きがとても重要になります。真言宗では、この三つの働きを三密といい特に重んじられており、この実践こそが仏さまの理想とされる生活でもあります。つまりこの三密を実践されることにより、必ずよい子を産むことができるのです。

それでは、この三密について説明いたします。

◆身(しん)

 身とは肉体の働きのことです。あなたの行動は、お腹の赤ちゃんも見ています。悪行をされることはもってのほか、不浄の場所(パチンコ、競馬など)にも行かないようにして、規則正しい生活をするように心がけましょう。
 また適度な運動は大切です。運動不足は難産の原因にもなりますので、苦しくない程度に身体を動かすようにいたしましょう。


◆口(く)

 口とは言葉や舌の働きのことです。あなたの話すお言葉は、お腹の赤ちゃんも聞いています。悪口や人を傷つけるような言葉、卑猥な言葉を口にせず、いつも優しく愉快な言葉使いをするように心がけてください。

 食事は「いのち」の根源です。決して好き嫌いをすることなく、大地の恵みに心から感謝していただくようにいたしましょう。食事時間は変則的にならないよう注意し、食後は静かな時間を持つようにいたしましょう。


◆意(い)

 意とは意思・感覚の働きのことです。あなたの心は、お腹の赤ちゃんも感じています。あなたにとってはいつも見慣れた景色でも、お腹の赤ちゃんにとってはどれも新鮮で美しい景色です。ですからあなた自身が一つ一つを新鮮な気持ちで見て、時には美しいと感じたり、感動したりするお心は大切です。
 新たな気持ちで、見渡すと小さな感動はあらゆるところにございます。

仲のいい老夫婦を見ると、その笑顔の中に、つらく苦しいときも、お互いに支えあって永い人生を歩んできたことに感動をおぼえることでしょう。
アスファルトに咲く一輪の花を見ると、その過酷な中に、精一杯強く生きていることに感動をおぼえることでしょう。
夜空の星を見上げると、その暗やみの中に、永遠に広がる美しさや雄大さに感動をおぼえることでしょう。

 感動のお心はお腹の赤ちゃんにとても優しい温もりを与えることができます。幸せを感じる心を養い、常に穏やかな優しい気持ちでいるように心がけましょう。


 以上のことは妊婦中心にのべてきましたが、この三密の生活をしていくにあたり、家族全体の助けが必要になります。中でも一番頼りにならなければならないのが夫です。夫の妻を思いやる言葉、思いやる行動は、その一つ一つが妊婦の不安を取りのぞき、とても大きな夢と希望にむかう勇気を与えてくれることでしょう。決して面倒くさがったり、暴言を吐いたり、妻の不安をあおるようなことはなさらずに、妻の気持ちをいち早く察し、妻がしようと思って出来ないことがあれば、優しく手を差し伸べてあげるようにいたしましょう。

 妊婦としても、夫や家族の方が自分を想う言葉をかけてくれたり、行動をしてくれたりしたときには「妊婦だからあたりまえだ」などと思うことなく、支えてくださる方に対して心より感謝するお気持ちを持つようにいたしましょう。

夢と希望につつまれ、良い子のご出産を願って…

合 掌


腹帯について

 腹帯は、「母親としての自覚を持つため」とか「しているほうが楽だから」などといわれますが、腹帯をする第一の目的は保温でございましょう。妊娠した子宮は敏感になっており、冷えると子宮は収縮し、流産の危険もございます。そこで、腹帯で冷えを防ぐ必要があるのです。
又、お腹が大きくなってまいりますと、きっちり腹帯をされているほうが動きやすいですし、胎児の位置を正しく保つうえでもよいのです。それだけでなく、何かと衝突したときにも、その衝撃を和らげる効果もございます。
ただし、あまりにもお腹を強くしめつけることだけは絶対におやめください。血のめぐりが悪くなるだけではなく、胎児にも悪い影響をあたえかねません。中には「強く巻くと胎児はそれほど大きくならず、お産が楽になる」などとお考えの方もいらっしゃいますが、これは大きな誤りです。巻いたときは全体的に気持ちよくしまった感じになるようにご自身で加減しておしめください。





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