哀しみからの
旅立ち
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 ただ赤ちゃんにとっての気がかりが一つだけございます。それは、落ち込んでいるお母さんです。必ず乗り越えることができる強いお母さんだとわかっていながらも、本当はとても心配しています。
 そこで天国からお母さんを見守ってあげようとするのです。 「お母さん、がんばれ」といつも応援しています。大好きなお母さんのために、一生懸命、メッセージを届けようとしています。一生懸命、小さな幸せを運んでまいります。

 哀しみや後悔、懺悔ばかりの時期は、このメッセージが心に響いてこないかもしれません。小さな幸せを感じることができないかもしれません。それでも赤ちゃんは毎日毎日、贈りつづけておられます。

 この深い哀しみは、どうすればなくなるのでしょう。どうすれば赤ちゃんからのメッセージが心に届くのでしょう。
 常光円満寺では、「赤ちゃんをいつまでも忘れないでいてあげることが大切」と申し上げております。これは決して「これから哀しみとともに生き続けなければならない」ということを申し上げているのではございません。「赤ちゃんを受け止めて、哀しみを乗り越えることが大切」ということを申し上げているのです。

 中には、お腹の赤ちゃんを失った哀しみのあまり、そのときのつらい記憶をはやく忘れようとする方もいらっしゃいます。「あのことは早く忘れなさい」などと、心無いお言葉をかける方もおられます。これは決して哀しみを乗り越えようとしているのではなく、哀しみという現実から目を背けているだけです。根本的には何の解決にもなりません。
 赤ちゃんのことは決して忘れられるものではありません。たとえ哀しみから解放されて、普段と変わらない生活ができるようになったとしても、目の前に可愛らしい赤ん坊を抱いたお母さんが現れたらどうでしょう。自分の友達や兄弟が可愛い赤ん坊をつれてきたらどうでしょう。ふと、自分の赤ちゃんを思い出し、同時にあの時の深い哀しみの記憶も蘇ってまいります。そうなると、他人の赤ちゃんを純粋に「かわいいね〜」って抱けなくなってしまうでしょう。他人の幸せを素直に喜べなくなってしまうかもしれません。それではいけません。

 まずは天国の赤ちゃんをしっかりと受け止めてあげるのです。
 赤ちゃんを忘れるのではありません。哀しみを忘れるのです。赤ちゃんを受け止めて、哀しみとサヨナラするように努力することが最も大切なのです。
 あなたも天国の赤ちゃんの母親です。心優しい天国の赤ちゃんに見守られている幸せな母親です。いつの日か、たとえ他人の赤ちゃんでも、母親としての優しい眼差しで見つめることができる時が来るでしょう。

 苦しみを乗り越えることができれば、赤ちゃんからのメッセージや今まで感じることのなかった幸せを感じることが出来るでしょう。

 まずは、一日の終わりに形からでも結構ですので、赤ちゃんに
 「今日も一日、見守ってくれてありがとう」
 とお祈りすることからはじめて下さい。
 前向きなお心は、自然と自分に幸せが舞い降りてきます。感謝のお気持ちは、自然と周りに輝きをあたえます。

 赤ちゃんのためにも、元気をだして頑張りましょう。

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